広告制作会社は一般的な企業と何が違うのか?
コピーライターを目指している人、グラフィックデザイナーを目指している人。
未経験からの挑戦となると、広告制作会社(広告プロダクション)からスタートって人が大半だと思います。
でもいきなり広告制作会社って言われても、どんな会社なのか想像もつかない人もいるのではないでしょうか。
まあ広告を作る会社なのは間違いないんだけど、社内やそこにいる人の雰囲気とかって入ってみないと分からないですからねー。
何を隠そう、私は転職経験が豊富な方です。
コピーライターとして仕事をしていた広告業界だけでなく、不動産をはじめとする一般的な企業も経験しています。
そんな私から言わせていただくと、広告制作会社はお世辞にもフツーとは言い難いです(笑)
多分、広告業界で働く人って転職はするけど業界内にずっととどまっているケースが大半なんですよね。
むしろ私のように業界をまたいで転職をする人って珍しいと思います。
だからこそ、その両方を比べたうえで言える。
広告業界および、広告プロダクションは普通じゃない!
という訳で今回は、広告業界を目指している人へ、広告制作会社はフツーの一般的な企業とは何が違うのか。
その内部の様子や雰囲気も合わせて、思いだせる限り書いてみたいと思います!
残業時間が長いときはとことん長い
普通と違うところ・・・と考えて、私がまず一番最初に思いついたのがこれ。
ご存知の人もいるかもしれませんが、制作会社は残業時間が長い時はとことん長いです。
クライアントに納品するためのスケジュールが決められているので、そこにどうしても合わせていく必要があるんですが、ちゃんと合わせるためには多少無理する場面がどうしても出てくるんですよね。
まあこういうのって会社によって違うことも確かです。
一年を通して繁忙期と閑散期の波があることもあるし、ゆるやかに一年中ずっと軽い残業がある会社もあります。
ですが基本的には残業は必ずあると思っていて間違いはありません。
業界的に請け負う立場なのは間違いないので、すべてはクライアント優先で仕事を進める必要がありますからねー。
この業界だけに限って言えば、全員が残業ゼロなんて事には絶対にありえません。
あるとすれば、前から予定していた会社の飲み会の日くらいではないでしょうか?
そんな状況にもかかわらず、残念ながら残業代も出ないところが大半です。
私の場合、最初に入社したプロダクションはたまたま残業代が出る会社でしたが、かなり稀だと思いますよ。
話によると、僕が入る少し前に労基か何かから指導があったとか聞いたことがあります。
その後いくつか転職しましたが、まともに残業代が出たのは後にも先にもそこだけでしたよ。
ちなみにその会社は倒産してしまいましたけどね(苦笑)
労働時間に関する独自の規則がある
まず残業の話をしましたが、それに関連することとして「労働時間について独自の規則がある」というのもこの業界の特徴かと。
例えば、「前日22時を過ぎるような残業をした場合は、翌日の出勤を1時間遅らせることができる」とか。
あるいは、「日をまたぐ残業をした場合は、自宅までのタクシー代を請求できる」みたいな。
基本的に規則が整備されているのは「残業がらみ」についてです。
育児休暇や有休については曖昧な企業が多い業界なのに、こういった規則についてはきっちり決められているのは何とも皮肉ですね(笑)
で、肝心の残業代についてはみなし残業として基本給に含まれてたり。
なんだそれっていうね。
変わった人、面白い人が多い
さて「残業が多め」なんて唯一ともいえる負の部分をお話ししましたので、ここからはなるべく明るく参りましょう(笑)
見出しの通り、制作会社は変わった人や面白い人が本当に多かったです。
冒頭でお話ししたように私は広告業界だけではなく一般的な企業も経験してきました。
そんな私が今思い返してみても、やっぱり広告制作会社は少しフツーじゃない人が多かったように思いますね。
というのも、やはり広告制作というのは人とは違ったことをしてなんぼなんですよ。
あまりに違いすぎて理解されないのも考えものですが、人とは少し違った視点からも物事を見られる人が活躍しやすい業界なのは間違いありません。
私の周りで言うと、例えばコピーライターのAさん。
この人はとにかく酒臭いんですよ(笑)
さすがに毎日ってわけではないんですが、週明けは特にそういう状態が多かったですね。
前日のが残ってるという感じではなく、飲み屋帰りに出勤してきました?ってくらいに臭ってましたからね。
月曜の朝礼での発言もろれつが回ってない時はよくありました。
この人が酔いどれで来た場合、昼くらいまではほろ酔い気分で仕事をしているのでほとんど仕事になりません。
昼過ぎになってやっとシラフに戻りつつありますが、夕方過ぎになると今度はグロッキーになって目が死んでました(笑)
そんなのフツーじゃありえませんよね。
というか広告制作会社の中でもウチの会社がフツーじゃなかったのかもしれません。
ですがそんなのもあり得ない話でもないのがこの業界です。
なんでやめさせられないの?なんて思いますよね。
フツーの企業なら、そんな状態が続くようなら厳重注意、それでも直らなければ退職に追い込まれるのが普通です。
でも、Aさんはやめさせられなかった。
なぜかというと、Aさんは酔っていない時は実にいい仕事をするからです。
彼の書くコピーや仕事ぶりは、クライアントから直接指名があるほど信頼されていたんです。
しかも不思議なことに例え二日酔いであっても、ちゃんとクライアントの定例会議には欠席したり遅れることもなく参加していたようですからね。
そういうのを会社は知っていたので、たとえ酔いどれ野郎であってもクビにすることはなかったということです。
ある意味、わかりやすいですよね。
ちゃんとコピーが書けてクライアントからの信頼があれば、多少の社会的な欠点があっても重宝される。
多分、普通の一般的な企業ではありえないことだと思います。
こういう体質を見るだけでも、この業界がちょっと変わっているのを分かって頂けるのではないでしょうか。
結婚していない人が多い
業界にいた頃を思い返すと、結婚していない人が多かったように思います。
私は東証一部上場企業にいたこともありますが、やっぱりそういう大きな企業の社員は良くも悪くも一般的なライフステージを歩んでいる人が圧倒的に多いです。
20代で結婚して、それに合わせて家を買い、子どもがいて、休日は家族で買い物・・・そういう人生を歩んでいる人です。
それに比べると、広告制作会社で働く人は未婚が多かったですね。
若い人が結婚してないのではなく、30、40歳でフツーに一人暮らしを楽しんでいる人が周りにはたくさんいました。
まあこれにはいくつか理由があるとは思います。
1つは金銭的な面ですよね。
どうしても駆け出しの頃なんかは薄給なので、結婚したくてもできないって人もいます。
他には業界的にどうしても不安定(労働時間など)なので、なかなか結婚しにくいってのもあるはずです。
まあ私に言わせれば、実はいずれの理由であっても解決策はあるんですけどねー。
以下の記事はコピーライターと結婚について書いたものですが、同じ広告業界の職業であれば大体当てはまる内容となっています。
広告業界で結婚するための条件を知っておきたい人はぜひ読んでみてください!
少し話がそれましたが、何が言いたかったかというと、そういう「いい年して独身を楽しんでいる人」は独自の世界観がある人が多いんですよね。
世間的にはそういう人って「変わってる」みたいに言われがちですが、この業界においてはむしろプラスに働く方が多かった印象です。
お金はそこまで稼げるわけではないけど、不自由なく一人で暮らしていけるだけのお金はもらえて、尚且つ好きな広告を作って暮らすことができる。
そんな感じの人が多かったです。
基本的に出入り自由
私は最初に入った会社を含めて、制作系の会社は3社ほど経験してきましたが、全ての会社で勤務時間内の出入りは自由になってました。
少しお腹が空いたからコンビニに行ったり、アイデアが煮詰まったから近所を散歩したり。
私はしたことありませんが、気分転換に映画を観に行っても経費で落ちていたそうです。
こういうの、普通の会社だとちょっと考えられないですよね。
コンビニに行くくらいはできるかもしれませんが、やっぱり人の目が気になりますし、気軽に行ける感じではない会社が普通だと思います。
でも広告制作会社の場合は、もうみんながそんな感じなんですよね。
特にその傾向が強くなるのは、残業時なんかもそうです。
誰かが買ってきたお菓子に群がって茶話会みたいになってたり、お互い画面を睨みつけて仕事をしながら全然関係ないゲームの話を延々としてたり・・・。
普通の企業から転職した場合、多分最初はちょっと戸惑うかもしれませんね。
FMが流れている
これも制作系では比較的あるあるではないでしょうか。
大阪とか関西だとFM802が流れている制作会社は多いと思います(笑)
この環境に慣れていると、逆に流れていない会社に入社した場合かなり違和感を覚えます。
私もそんな経験があるんですが、よくこの静けさの中で皆さん仕事できるなーなんて感心してしまいましたからねー。
またラジオだけではなく、イヤホンで音楽を聴く事を許されている会社もあったりします。
最後に
今回は広告制作会社の社内の雰囲気について書いてみました。
やっぱり改めて見ると、一般的な企業とは全然違いますよね。
正直、合う合わないはあると思います。
でも合う人はとことん合うと思いますし、そうなると気の合う仲間もたくさんいるはず。
私も最初に入ったプロダクションで体重が8キロ増量しましたからねー。
多分、よっぽど合っていたんだと思います(笑)