意外と地味!?コピーライターの仕事内容の実態とは

コピーライターの仕事内容 コピーライター

コピーライターとはどんな仕事?

「コピーライター」とは実際にどんなことをする人なのでしょうか?

 

・うまいキャッチコピーを考えられる人

・キャッチコピーを1つ書くだけでたくさんのお金を稼ぐ人

・発想が飛びぬけていている人

・ひらめきやフィーリングを頼りに生きている人

・事務所にこもって文章をひたすら書いている人

 

もしかしたらこういったイメージを持っている人もいるかもしれませんね。

 

実際、僕がコピーライターだった時、友人とかに上のようなことは実際に言われていましたよ。

「コピーライター」って名前の知名度に対して、その実態について知ってる人の数がかなり少ない気がするので、まあ無理もないかなと思います。
実際を知らないだけならまだいいんですけど、現場とはかけ離れたイメージを持ってる人が多いのも特徴と言えるかもしれませんねー。

 

というか何を隠そう、コピーライターになる前の僕がそういったイメージを持っていた一人ですので(笑)

 

昔、ガールズバーで女の子に言われたこの言葉は忘れもしません。

「え、コピーライター??あ、イトイシゲサト!・・・あなた、イトイシゲサト?」

 

というわけで今回は、そういった世間の誤解を解くべく、元コピーライターの僕がコピーライターの仕事内容について解説します。

 

コピーライターの仕事内容って?

まず知っておいていただきたいのは、コピーライターは文章だけ書いてればいいという仕事ではありません。

 

・・・こう聞くと、意外に思ったかもしれませんね。
でも実際は、むしろそれ以外の業務の方が多いくらいなんですよね。

そうですね、文字そのものを書く(パソコンに打ちこむ)時間でいうと、仕事全体のせいぜい10~20%くらいといったところでしょうか。

 

それじゃあ他の時間は何してんの?寝てんの?
って話になってくるので、その他の業務について簡単にふれていきましょう。

 

コンセプトの立案

コンセプトは、広告制作するうえで必ず必要なものです。
広告の方向性を表し、最初に決められたコンセプトに沿ってその後の広告制作が進められます。

 

コンセプト?聞いたことはあるけど、なんか堅苦しいなあ。

 

そう思われる人もいるかもしれませんが、どんな広告にもコンセプトはあるんですよ。
逆に言えば、コンセプトがないと広告はつくれません。

 

この大事なコンセプト立案は、コピーライターが担うことも結構あります。
僕もコピーライターだった時は、コンセプトの立案から考えていましたよ。

というかイチからキャッチコピーを考えようとすると、必然的にコンセプトを立てていくことになるんですよね。
キャッチコピーって、その商品の特長や世界観を端的に表現したものなので、コンセプトがないと考えられませんからね。

 

未経験者だとまだピンと来ないかもしれませんが、キャッチコピーはひらめきで考えられているのではありません。
いや、ひらめきも大切な要素ですが、それだけではない、といった方が正確でしょうか。
あくまで商品のメリット、周りのマーケット情報などを把握したうえでコンセプトを立て、そのうえでじゃあそのメッセージをどう伝えようか。
そこで初めてキャッチコピーが生まれるわけです。
「伝えたい事」をしっかりと固めることができれば、そこから先はひらめきも重要。
どんな言葉を使ってキャッチコピーをつくろうか。
そこがコピーライターの腕の見せ所でもあったりします。

コンセプトですが、プランナーの方が立案することもあります。
もしくは何人かがアイデアを持ち寄ってコンセプトを決めていくケースもあるかと思います。

 

ただ、一つだけ言えるのはコンセプトから考えられるコピーライターは重宝されるということです。
仕事を依頼する側からすれば、何人かに仕事を分けて依頼するより、同じ人に頼む方が統一感がありますよね。
指示や修正の管理がしやすいというのもあります。

 

どちらにしても、コピーライターを目指すのなら、コンセプトから考えられる人を目指したいところです。

 

オリエンテーション、打合せ、定例会議に参加

オリエンテーションというのは、プロジェクトの始まりにクライアント(広告を打つ企業)の要望を聞く場のことです。
広告を打とうと考えている商品の課題やマーケティング状況、広告の目的、予算などをヒアリングします。

このオリエンにはコピーライターも参加することが多いです。
プロジェクトの規模によってはクリエイティブディレクター、アートディレクターといった人たちも同じく参加します。
まあ予算小さめの広告とかだと「あ、じゃああのオリエン行っといてくれる?」てな感じで1人で行かされることもあったりしますけどね。

 

次に、実際にプロジェクトが動き出すと、定期的にクライアントと打ち合わせがあります。
制作物を持って行って「こんな感じですかね?」って感じですり合わせをしていくんですね。
これにもコピーライターは参加することになります。

 

簡単な案件だったりタスクが定型化してる制作だと営業が担うこともありますが、そうでない場合はコピーライターが中心になって打合せすることも多いです。

まあでも、ぶっちゃけこの辺は会社やプロジェクトによってケースバイケースです。
プロジェクトの最初の段階は特に重要なのでディレクターポジションの人が中心になって仕事を動かしますが、大よその枠組みを作ってからは進行していくに従ってフェードアウトするなんてのもよくある話。
その後は、コピーライターだったりデザイナーが打合せを含む実作業をこなしていくんですね。

 

余談ですが、僕がいた会社ではデザイナーさんは単独で打ち合わせにいくことはあまりなかったです。
コピーライターが単独で行くか、ペアになって行くことが多かったですね。
これはなんとなくですが、デザイナーは感覚的な人が多いのでクライアントの要望も感覚的に捉えちゃう。
だから冷静にロジックで考える立場のコピーライターが行かなくてはいけない。
そんな雰囲気があったように記憶していますね。
今考えると確かにそういった部分もありますけど、ちょっと偏見に過ぎる気もしますよね(笑)

 

まあそれだけコピーライターはクリエイティブに対して「論理的な見方」を期待されているポジションだということが分かる一例です。

 

コピーライティング(文章作成)

コピーライターは文章を書くだけの仕事ではない!とは言いましたが、そこはコピーライターなので当然コピーも制作します。

 

コピーと一言で言っても、コピーにはいろんな種類があります。
どうしても「コピーライター=キャッチコピー」ってイメージは強いですが、コピーライターは実にいろんなカタチの文章を書きます。

 

・キャッチコピー

・ボディコピー

・リードコピー

・ショルダーコピー

・ヘッドコピー

 

・・・・などなど。

 

こう見ると、キャッチコピーを考える時間なんてのはほんと全仕事の一部でしかないことが分かりますよね。

 

ロケハン、実地調査

僕は不動産の広告もメインで担当していたので、特にロケハンは欠かせませんでした。
ロケハン、つまりロケーションハンティングです。
実際にその物件のある土地に行って、自分の目でいろんな情報を得るんですね。

 

不動産広告じゃなくても、ロケハンというか実地調査は必要です。
化粧品の広告であればデパートの売り場に行くべきでしょうし、ホテルなら実際に宿泊するのが一番その業界について分かります。
どんな商品やサービスでもリアルの現場を見ておくことは必須事項といえます。
でもこれをしない人って結構多いみたいですけどねー。

 

今はネットで調べれば大抵のことは分かりますからね。
コピーライターが情報収集する時も、インターネットは欠かせません。
ですが、実際の空気感や生の情報というのは、その場に行かないと分かりませんよね。
これはどんなに世の中で合理化・効率化が進んでも変わらないと思います。
僕が上司によく言われてた言葉は「コピーは足で書け」というもの。
手を動かす前に、足を動かせってことですね。
当時は「何めんどくさいこと言ってんの」って感じでしたが、今はその意味がよく分かります。

 

コピーライターは文科系に見られがちですが、フットワークの軽さも持ち合わせていなくてはなりません。
僕が入社後しばらくして悩まされたのは、コピーの書き方ではなく足の筋肉痛でした(笑)
あなたの入る会社が私服OKなら、動きやすい服装で出勤することを強くオススメします!

 

プレゼンテーション

略してプレゼンです。

お客さんなどを相手に、自分たちのクリエイティブをアピールする場です。
このプレゼンにも大抵の場合コピーライターが参加します。

 

プレゼンテーションには大きく分けて2つあります。

 

・競合プレゼン

・指名プレゼン

 

競合プレゼンは、その名の通り他社と競い合うプレゼンです。
他の代理店や制作会社も同じようにプレゼンに参加するので、自分たちの提案が採用されるとは限りません。
クライアントは複数の会社が提案した中から、一番いいと思ったものを採用します。

 

一方、指名プレゼンというのは仕事を受けることが決まったうえで行うプレゼンです。
受注自体は決まっているので、競合プレゼンに比べてもかなり具体的な提案内容になります。

 

僕のいたプロダクションでは、コピーライターがプレゼンを行うことになっていました。
どちらのプレゼンにしても重要な場であることは変わらないので、いつも緊張していましたねー。
それなりに大きなプロジェクトになると役員クラスの人たちも参加しますし、多いときは30人くらいの前で提案することもありました。

 

こればっかりはもう慣れしかないですよね。
始めは緊張して当たり前です。
手や声が震えますし、スラスラ話せず何度も噛むことになります。

 

一応、僕なりのコツとしては、補足事項を自分の資料に書き込んでおくことです。
企画書に書いてあることを読むだけだと誰でもできるので、そこにはない情報をプレゼンで話すことが重要です。

 

企画書の作成

プレゼンテーション時など、自分たちの提案をクライアントに説明するために企画書を作らなければなりません。
この企画書をつくるのもコピーライターの仕事であることが多いです。

 

・マーケティング情報、商品のおかれた状況などを整理
・課題の洗い出し
・課題解決策の提示
・解決するためのコンセプト
・コンセプトに沿った広告展開
・具体的な表現内容

 

僕の場合はざっくり言うとこんな流れで企画書を作っていました。
中でもコンセプト立案はコピーライターの腕の見せどころです。
ここがしっかりしていないと、後々クリエイティブに影響してきますからね。

 

企画書を作るためには、論理的思考が欠かせません。

 

なぜこんなデザインになるのか?
なぜこの年齢のモデルを起用するのか?
なぜこのキャッチコピーなのか?

 

コピーライターはその全ての答えを企画書で説明し、クライアントに納得してもらえるようにしておく必要があります。

 

文字校正

僕がいた会社では通称「もじこう」と呼んでいました。
誤字脱字がないかをチェックする作業を「文字校正」といいます。
コピーライターは自分の書いた文字だけではなく、広告に関する文字全てに責任を持たなければいけないのです。

 

特に価格やスペックなどの数字関係は絶対に間違えられません!
万一ミスがあって損失を出したりなんかすると、仕事解除なんてこともありえます。
最悪の場合、損失した分を賠償するなんてことに発展する可能性も。

 

これは実際に聞いた話ですが、ある制作会社がつくっていたマンション広告で、間違って価格のゼロを一つ少なく記載してしまったらしいのですが、これが原因でそのクライアントの仕事がすべて飛んでしまったという出来事があったとか。

 

さすがにこの例は極端かもしれませんが、コピーライターは文章を書くだけではなく、常に文字に気を配る必要があります。

 

取材・インタビュー

お店や人に対して取材やインタビューを行う仕事もあります。

僕は過去にフリーペーパーの編集をしていたことがありました。
その商業施設に入っているお店のお得情報やキャンペーン情報などを掲載するのですが、そこに載せる情報を聞き出すために、実際に現地に行って取材やインタビューをするわけですね。

 

取材やインタビューというと、どちらかと言えばライターよりの仕事かもしれませんね。
自分が見たこと聞いたことをレポートして記事にするっていう。

僕みたいに会社によってはコピーライターでもそういう仕事をこなすことは十分考えられます。

 

人に分かりやすく情報を伝えられるかどうか。
コピーライターのスキルの一つですので、こういった仕事が回ってきたときはぜひその辺りを意識してみてください。

 

ネーミング

リニューアル案件とか、まだ名前も決まっていない商品の案件だとネーミングの仕事が回ってくることもあります。

ネーミングもキャッチコピーと同じでコンセプトと密接につながっていますので、ひらめきだけでは考えられません。
その商品やサービスの価値はなんなのかをとことん考えたうえで、ネーミング案を出していきます。

 

論理的に考えていくのですが、最終的にはキャッチコピー以上に語感やゴロの良さも重要。

 

王道パターンは、とりあえずイメージするキーワードをいくつも出して、それらを他の言語に変換し組み合わせていく方法です。

下のような、ひとつの単語を多言語に訳してくれているネーミング辞典みたいなのは一冊あるととても便利ですね。

最後に

見てもらった通り、コピーライターの仕事はたくさんあります。

特に最近のコピーライターは更に仕事が幅広くなっていると聞いています。
実際、僕なんてコーディングやってたことありますからね(笑)
htmlをいじりながら同時にコピー修正したりなんかして。

 

特に小さい制作会社だと色々なことを任されることになると思います。
でも、めんどくさがったり「僕は私は、コピーを書くためにコピーライターになったのに!」なんて拒否らないでください。

芸人は例え浮気でも「芸の肥やし」になると言われたりしますが、コピーライターも同じようなところがあります。
文章を勉強することはもちろんですけど、仕事に関係ないような経験でも、必ず活きてくるんですよね。

 

なぜならコピーライターの存在意義というのは

・物事をいろんな角度から見ることができる

・もやっとしたものを、多くの人に分かりやすく伝えることができる

 

だと僕は考えています。

・・・あ、もちろん大前提としては「商品・サービスを認知させて売上を向上させること」ですけどね。
その大前提があった上で、そのためにどういったスキルが必要なのかという話ですね。

 

いろんな経験をすることで、いろんな角度から物事を見ることができるようになりますし、それを伝えるスキルも磨かれていきます。

やっぱり経験値がなかったり、人とあまり関わりたがらない人は、どうしても考えが一人よがりになりがちなんですよね。
なので思い当たる人は、コピーライターになる前にそういったところを意識する必要があると僕は思います。

 

 

尚、コピーライターに向いている人はどんなタイプなのかを詳しく考えてみた記事がありますので、こちらもご覧ください。